まだまだ山積みの形だけの容認
日本国内において性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律において性同一性障害者の定義から戸籍の性別変更が認められているにも関わらず現在の日本ではホルモン治療などの性別適合手術に対しての健康保険の適用はされていないのが現状である。
つまり性別適合手術の当事者にとっては経済的な負担がどうしてもネックになってくる事から性別適合手術や戸籍上の性別変更を断念せざるをえない者は決して少なくは無い。
また性別適合手術の中でもホルモン治療には様々な不可逆的肉体の変化がある他にもエストロゲン製剤やアンドロゲイン製剤の副作用もモチロン存在する。どちらのホルモンの投与形態は日本国内では基本的に注射剤が一般的であるがその他にも経口剤・添付薬があり添付薬、注射剤、経口剤の順に副作用が弱くなるが注射剤の場合は長期にわたる投薬のために注射部位の主に三角筋や大殿筋などの筋肉が萎縮するなどの副作用のリスクがある
主な作用と副作用のリスク
生物学的男性の性同一性障害の人(MtF)にはエストロゲン製剤を投薬します、
エストロゲインとはステロイドホルモンの一種で一般的には女性ホルモンや卵胞ホルモンという通称が分かりやすいのではないでしょうか?
生物学的女性の性同一性障害の人(FtM)の場合はアンドロゲン製剤を投薬します
こちらもステロイドホルモンの一種で雄性ホルモンや男性ホルモンとも呼ばれており男性の場合は主に精巣のライディッヒ細胞から分泌されます。
それぞれの主な作用と副作用
- エストロゲン製剤作用
- 乳房の発育と乳腺組織が増大し乳輪の色素が変化する
- 作用
- 色素が薄くなり髪の毛、肌、爪などが柔らかくなる
- 作用
- 体毛や髭と筋肉が減少し始める
- 作用
- ハゲが改善され初め頭髪が増加する
- 作用
- 勃起不全など造精機能が喪失され攻撃性、性欲などが減衰
- 作用
- 内臓脂肪から皮下脂肪に中心になり骨盤へ脂肪が特に集中する
- 副作用
- 心不全・心筋梗塞・脳梗塞・血栓症のリスクが増大
- 副作用
- 高プロラクチン血症の発現リスクの増大
- 副作用
- 肝機能障害の発現リスクの増大
- 副作用
- 乳汁の分泌や下垂体腺腫を引き起こす場合もある
- 副作用
- 貧血気味になり血色素が減少
- アンドロゲン製剤作用
- 月経が停止し脂肪が減少しだす
- 作用
- 皮膚が乾燥し色素の沈着が始まる
- 作用
- 体毛・爪・髪の毛が硬質化し体毛は増加する
- 作用
- 声が低くなり陰核の肥大が始まり性欲が昂進し攻撃性が増大する
- 作用
- 皮下脂肪中心の身体から内臓脂肪中心になる
- 作用
- 貧血が改善される
- 副作用
- 頭髪が減少しニキビが増加する
- 副作用
- 体重が増加し血糖コントロールの値が上昇する
- 副作用
- 肝機能障害の発現リスクの増大
埋まること無い社会との軋轢
過去の性同一性障害を伴ったトラブルの一つに性同一性障害を理由に懲戒解雇された件が解雇権の濫用にあたるとした裁判例が2002年に発生した性同一性障害者解雇無効事件である。この事件の内容は男性として雇用された被用者が異性装(つまり女装)での就労を禁止する内容の服務命令に対しての違反を理由の一つとして懲戒解雇された事に対して地位の保全および賃銀・賞与等の仮払請求の仮処分を申し立てたものである。
最終的には東京地裁より性同一性障害である被用者の異性装や女性として扱って欲しい事への申し出には正当な理由があり申し出を受けた後にも善後策の相談などが無かった事と異性装での就労に対して支障をきたす明確な証拠が無い事を指摘し懲戒解雇を濫用として無効とした上で賃金の支払いを命じたものである。
性同一性障害におけるトラブル
上記のような社会との埋まらない溝によるトラブルの他にも1964年に起こった「ブルーボーイ事件」など現在の性同一性障害に対する手術治療などが制限されるような結果を残してしまうものも中にはいくつも存在する。
検察による問題となった行動の経緯は当時ブルーボーイ(ニューハーフ)と呼ばれていた男娼に従事していた20代の男性(戸籍上)3人に対して性転換の手術を行った際に「本当に手術の必然性があり、個人の嗜好や職業上の利得を動機としたものではない」という判断を下すための十分な精神科的診療を行わなかったために当時の優生保護法(現在では現在の母体保護法に改題)の第28条「何人も、この法律の規定による場合の外、故なく、生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射を行つてはならない」に違反したものとして逮捕され1969年に有罪判決を受けた
ブルーボーイ事件がもたらしたもの
結果としてブルーボーイ事件がもたらしたものは「性別適合手術は違法」というイメージを植えつける事となった。また当時は売春に対しての取締りが社会的な課題(結局現在に到るまで何ら改善もしていないなぁなぁでグダグダな中途半端極まりない課題であるが)となった時期でもあり性転換手術(2002年に性別適合手術と名称を変更した)を受けた後に売春したとしても戸籍上は男性のため法的には男性として取り締まる事ができなかった。
何らかの形で「きちんと取り締まっていますよ」と見せつけたかった警察はこのブルーボーイ事件、つまり被告人の医師を告訴する事で当時安易に性転換手術を行っていた医師たちに対して圧力を掛けるように立件したのである。
結果的に被告人の医師には有罪判決が下され別件の麻薬取締法違反も含めて懲役2年・執行猶予3年と罰金40万円に処されたがこの裁判結果がもたらしたものは「性転換手術の末に有罪」というイメージの一人歩きであり結果として1998年の埼玉医学大学が正式な性転換手術を行うまで性別適合手術は正式な形では実に29年間も行われずその間の性別適合手術とは専ら日本国外で行われるか所謂「闇手術」として非合法に行われていたのである。



