性同一性障害
性同一性は大まかに分けて医療者的に「一次性(Primary)」「二次性(Secondary)」に分類する事が可能である。
一次性の場合は早期に発症し主に幼少期から青年期の前期から後期にかけて発症し身体的な性別とは別に反対の性自認を確固たるものとして自分の中に確立している場合が多くそれに比べると二次性の発症は遅く壮年期から老年期に近くに発症する。
二次性は一次性に比べて性自認は確固としたものではなく男女の間でゆらゆらと振れている場合もある。一次性や二次性の他にも「中核群」「周辺群」と分類される場合もあるがほぼ同様の意味だと思っていい。
はっきりと解らない原因
男女の脳構造の差
性同一性障害を持っている男女の死後と性同一性障害を持たない男女ではその脳内の構造に様々な差異が見られた。開頭して双方の脳を見比べた結果、脳内の特定部位の形状に差異がみられた結果報告が複数件報告されている。
例えば人間の性行動に深く関わる分界条床核が女性よりも男性のものの方が大きいが6人の性同一性障害の脳を死後解剖して調べた結果、分界条床核の大きさがMtF(肉体的には男性で心理的いは女性の場合)の人は女性とほぼ同じサイズだった。
症状と治療
性同一性障害の症状には生物学的な肉体の性別に嫌悪感や違和感を顕にする場合が多く、自身は間違った性別で生まれてきてしまったのだと確信し陰茎や乳房などの性的シンボルの排除を希望する事で性自認と同一の性別へシフトする事を望む。
また性同一性障害は日常的な生活から当人にとっては社会的な行動や役割が常に自分自身の性自認とは反対の性別を要求されてしまうためソレらの精神的な苦痛からうつ病・不眠症・摂取障害・アルコール依存症などの様々な合併症を患う場合も多い。
性同一性障害の治療は人により人格の否定につながる事や過去の治療例に成功した効果的な治療法が存在しないなどの様々な理由から心の性別、つまり性自認を肉体に合わせて治療していく事はしない。よってホルモン治療・乳房切除・性別適合手術などが基本的な身体的治療になる。
また性同一性障害の身体的治療には18歳以上であることはもちろんの事ながら性ホルモンの投与による不可逆的な身体の変化と副作用を伴う事や社会的な生活に必要であるのかどうかなどの十分な検討がされているかどうかが要求される。
精神的治療と身体的治療
精神科領域としての治療法
精神的な治療として性同一性障害本人の生活の質(Quality of Life=QOL)の改善と向上を目的に性同一性障害かどうかの診断も踏まえて以下のような診断を並行して行う。
またクオリティ・オブ・ライフ(QOL)は一般的に個人それぞれの人生内容の質や社会的な視点からの生活の質を指すものでどれだけ人間らしい生活を送り人生に対しての幸福を見いだしているのかなどを尺度として捉えるための概念である
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自分はいったい何者なのか
ジェンダーアイデンティティなど性自認を再確認させる事で「自分自身がいったい何者なのか」を明確にする。 -
自己評価の低さ
低下しがちな自己評価の低さを改善し社会生活において発生する可能性のある様々な問題に対しての対処法を検討する。 -
RLEをを通じて対処法の検討
Real Life Experience(RLE・実生活経験)を通じて想定される問題や困難に対しての体験を実際に行い対処法を検討する。 -
精神症状がある場合は治療を優先する
抗うつなど精神的な症状が見られる場合は先にそちらの治療を優先して行い最終的に今後の治療はどうしたいのかなどの希望を冷静に決定していく。
身体的な治療方法
身体的な治療にはホルモン治療・乳房切除・性別適合手術などがある。
以下はそれぞれの治療方法とそれのよって引き起こされるメリットやデメリットなどについて。
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ホルモン治療
性同一性障害当人の性別とは反対の性ホルモンを継続的に投与する事によって身体的な特徴を本来の性に近づけていくホルモン治療には自身の性自認と一致する性別での社会生活を容易にし肉体の性別と性自認のギャップによる苦悩を軽減させる効果が期待できる。
しかし性ホルモンの投与には不可逆的な身体の変化に加えて副作用を伴い性ホルモンの効果とその限界・副作用を十分に理解している事が必要とされる。
また骨粗鬆症のリスクからホルモン治療は障害に渡って継続しなければならない。 -
乳房切除
FtM(身体は女性で性自認が男性の場合)においては性ホルモン剤のアンドロゲイン(男性ホルモン)を投与しても乳房の萎縮はほとんど起こることは無い。そのため乳房の切除が必要になる場合が発生し乳房の大きさによってそれぞれ施術の方法が異なってくる。 -
性別適合手術
性別適合手術(Sex Reassignment Surgery=SRS)とは身体の特徴を本来の性自認に適合する外科治療において内性器・外性器に関した手術の事を言います。
MtFに対しては主に陰茎切除・卵巣摘出・造膣・陰核形成・外陰部形成などの術式を行う
FtMに対しては主に子宮卵巣摘出・膣粘膜切除・膣閉鎖・尿道延長・陰茎形成などの術式を行う
それぞれ子宮卵巣、精巣を摘出する事によって生殖能力は完全に失われコレは不可逆的なもので元に戻すことは不可能である。
問題点
性別適合手術やホルモン治療には法律により戸籍の性別変更が国から認められているにもかかわらず健康保険の適用がされておらず性同一性障害の当事者にとっては経済的負担が特に大きくなり性別の変更を断念する者も少なくはない。
その他にもホルモン治療にはそれぞれ注射剤・経口剤・添付薬があるがどの方法においても大小の差はあるが副作用は確実に起こり、長期の投与によって注射剤の場合などは投与している注射部位の筋肉の萎縮を引き起こす場合などもある。



